何でも四谷のJ大では、夢見の古代誌、真怪研究、『冥報記』輪読、それぞれの研究グループが草木も眠れぬ真っ昼間から密談を繰り広げているそうな。

2008年1月26日土曜日

金曜の夜:サブカル怪異について本屋で妄想する

いや、いつものことながら、このブログをと”ゐさんに任せきりにしてしまっていて申し訳ないことです。『幽』の「近未来大黒市篇」も面白かったですよ(文章もきれいでした)。フィールドワークをやりたい!という学生に、ひとつのメガネとして授けたいものです。

昨日は日本史特講(古代史)の最後の講義でした。中臣鎌足の表象が、各時代の政治的要請に伴って変質してゆく様子を半期かけて論じたのですが(メインは、「大織冠伝」における『周易』との関係)、最後の単元は幸若舞「入鹿」にみられる2つの特徴、なぜ入鹿を誅滅する装具が「鎌」になったのか、なぜその鎌をもたらす存在が「狐」なのかを考察するものでした。ま、最終的にはダキニ天を主尊とする輪王潅頂へ話を持っていったのですが...まあそれなりにきれいに風呂敷を畳めたのではないかと自分を慰めています。

帰宅途中、いつも京浜東北線に乗り換える神田駅で降りて、駅のすぐ近くにあるブックファーストへ寄りました。数年前に出来たのは知っていたのですが、今まで一度もいったことがなかったのです。何か軽いものを買いたいけれども、新宿でジュンク堂にゆくのも、東京で八重洲ブックセンターへゆくのも億劫だな...と考えて、その存在を想い出したわけです。ちょっと寄って物色するにはちょうどよい広さで、怪異関係では下記のものを仕入れました。
『華音』はしばらく確認していないうちに2冊を重ねており、8月号を今になって入手。怪談自体を特集するというより、怪異の創造に関わる人々のインタビューが中心です(円朝をライフワークにしている桂歌丸や中田秀夫など)。別役実の『もののけづくし』は、去年文庫化されていたのですね。やっぱり京極妖怪論より説得的だなあ。中学生のときにアニメ『銀河鉄道の夜』の脚本家として認知して以来のファンで、芝居もときどき観にいっていますが、やはりこのひとの目線は尋常じゃないと再認識しました。そうそう、毎週買っている『週刊金曜日』もここで購入したのですが、映画評は『28週後...』!で、なかなかの高評価でしたよ。今年は敬愛するリチャード・マシスンの名作『アイ・アム・レジェンド』もリメイクされていたし、ゾンビ映画が復活の兆なんでしょうか。『サイレント・ヒル』にしろ『バイオ・ハザード』にしろ、ゾンビ映画ですもんね。飽きっぽいハリウッドがもはやアジア風ゴースト映画を消費し尽くし、昔ながらの怪奇映画を復活させる方向へ変わってきたということか。次は『死霊のはらわた』かな?などと要らぬ妄想をしていたら、流行の翻訳ファンタジーが陳列されている棚のなかに、『アルハザード』なる小説が...!とうとうそんなものを書いちゃった人がいるんだなあ。確かに最近はクトゥルー神話の露出度が増えてきて、神話大系の再編集版は刊行されるし、「栞と紙魚子」はドラマ化されるし...。小中和哉なんか、『ウルトラマン』も『ジャイアント・ロボ』もみんなクトゥルー神話にしてしまって、ちょっと食傷気味の感がある。『ラヴクラフト全集』の別巻も出たことだし、『ネクロノミコン』がいかに誕生したのかを真面目に語る作品があってもいいのでしょうね。しかし、シャーマニズムだ呪術実践だという一人文学の風潮のなかでも、『ネクロノミコン』を核にクトゥルー神話を再構築しよう!なんていうアイディアはどこからも起こらなかったですね。やっぱり究極のマイナーなのか、ま、それもラヴクラフトらしいけれども。

以上、まったくの雑感にブログを使ってしまって済みません。

1 件のコメント:

と”ゐ さんのコメント...

「真怪」も関わるエントリですから、ぜひキーワードに加えて下さい(^^)