何でも四谷のJ大では、夢見の古代誌、真怪研究、『冥報記』輪読、それぞれの研究グループが草木も眠れぬ真っ昼間から密談を繰り広げているそうな。

2007年5月26日土曜日

『荘子』と対称性

いやほんと、「失速」の件は申し訳ない限りです。先週も何だかバタバタして、投稿できませんでした。今日はちょっと中身のあることを書いておきます。

上智と首都大の夢の講義の関係で、ここのところ『荘子』だの『列子』だのを読んでいるのですが、先日面白いことに気がつきました。
荘周自身が著したともいわれる『荘子』内篇斉物論では、かの有名な胡蝶の夢が語られています。

昔、荘周夢に胡蝶と為る。栩栩然として胡蝶なり。自ら喩しみ志に適するかな。周たるを知らざるなり。俄にして覚むれば、則ち蘧蘧然として周なり。周の夢に胡蝶と為りしか、胡蝶の夢に周と為りしかを知らず。周と胡蝶とは、則ち必ず分有り。此を之れ物化と謂ふ。
現代語訳すると、
昔、荘周は夢のなかで胡蝶となった。自由に、のびのびと舞う胡蝶で、志に叶った楽しい生き方であったが、自分では荘周であることに気づいていなかった。しかし、ふと目が覚めると、驚くべきことに自分は人間の荘周であった。周が夢のなかで胡蝶となったのか、それとも、胡蝶が夢のなかで荘周となったのか分からない。荘周と胡蝶とは必ず区別がある。これを物化という。
ということになるでしょうか。無為自然・万物斉合を説く『荘子』においては、夢/現実の間にも本来的な区別はない。夢だ現実だと区別を設けるのは、人間の賢しらな知が生じる自然の惑乱にすぎない。胡蝶も荘周も斉合なるものの変移の一様相にすぎず、そうした変化を物化と呼ぶ。……この論理はどこかで聞いたことがあります。そう、狩猟採集社会の動物の主神話と同じなんですね。中沢新一が〈対称性〉を説くように、この原始神話の世界観においては、人間/動植物の間に本質的相違は設けられておらず、置換可能な存在である。動植物は人間の世界に入って生活することができるし、人間も動植物の世界で結婚し、子供を儲けることさえできる。まさに、荘周が胡蝶となり、胡蝶が荘周となるように。狩猟採集社会の神話論理が、『荘子』との類似をみせるのは大変に面白い現象と思えます。
中沢は、9.11以降の現代社会を〈非対称性〉の社会と批判的に捉え、〈対称性〉の認識へ回帰することを要請します。つまり、現代文明批判の根拠として、またツールとして、〈対称性〉を用いるわけですね(ただし、この見解には問題もあります。『古代文学』46号の拙稿参照)。ここで興味深いのは、最近の浅野裕一氏の論考でも強調されているように、『荘子』が文明批判の書でもあること(同『古代中国の文明観』岩波新書、2005年)。主に儒家の知を対象に据えながら、『荘子』は人間の分別が道を曇らせ、季節の廻りや山川のありようを破壊し、空を飛ぶ鳥が鳥として生きられず、地を這う虫が虫として生きられない世界を創り出していると説く。後世の付加とみられる外篇においてではありますが、動物を捕らえる網や罠、弓弩の発明、潅漑に用いる機械類、動物の家畜化などが、自然の秩序を乱すものとして批判されてゆくのです。中国の環境史では、ちょうど『荘子』が形を整えてゆく戦国〜前漢の時期、黄土高原に広がっていた森林が開発され土壌の劣化・侵蝕が進行、高原から流出する土砂で河川は汚濁し、黄河下流域では洪水が頻発したと考えられています。もちろん、戦国各国の覇権闘争、秦による諸国征服、そして秦漢戦争と、大規模な戦乱が繰り返された時代でもあります。『荘子』の文明批判はそうした時代情況を背景に提起されているわけで、その意味でも、9.11以降の中沢新一と近いものが認められる。もしかすると荘周の捉えた〈道〉も、中沢の捉えた〈対称性〉に等しいものだったのかも知れません。

2007年5月25日金曜日

無理は禁物。

なんだかんだで一週間空けてしまいました金曜担当のと”ゐです。このブログ含め「失速」とはまさにこのことですが、様々な事情で立ち行かないのは、いたしかたありません。もうこれは時節に任せましょう。「失速」したって「墜落」しなけりゃ何とかなる、と。「墜落」させないためにユルユルとでもこのブログは更新することにします……ホントに雑感ですねこりゃ(苦笑)

2007年5月12日土曜日

一応告知、13日は中止です

いま秋田のホテルにおります。
先日は個人的な理由で、第1回の会談を中止にしてしまい申し訳ありません(中止ですよ、ちゃんとゆきわたってますよね)。声をかけた人間がストップもかけてしまい、「ほぼ日刊」も勢いが衰えてしまったようです。お詫びのしようもありません。今日明日中に、責任をとって何かアップしておきますのでご容赦ください。今後のことも、近日中にご相談させていただきます。

ところで本日夕方、上智大学は「はしか」の流行を抑止するため、明日から1週間の全学休講措置を採ることに決定しました(創価大学に引き続き。宗教系を攻めているのか?)。課外活動も一切禁止ですので、いずれにしても日曜は皆さん構内へ入れなかったかも知れません。19日の環境文化は大丈夫なのかな?確認せねば。

2007年5月11日金曜日

プロフィールなぞ

GWも明けてようやく夏近くなったかと思いきや、朝夕はまた冷え込んだりしてますが、皆さま体調にはお気を付け下さい。
さてメンバの皆さまにお願いなのですが、簡単でよろしいので、プロフィール欄でどうか自己紹介をお願いします。特に未投稿のメンバの方、どうぞよろしく<(_ _)>

2007年5月4日金曜日

みどりの日

GWも後半となった今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?金曜担当のと”ゐです。
気がつけば今日は「みどりの日」。Wikipedia経由で「みどりの日」とは「自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」日なんだと確認したのですが、この「したしむ」を思わず「たしなむ」と読んでしまい、それなりに納得してしまっていたと”ゐです。
それにしてもこの日は連休の狭間>国民の祝日>みどりの日、と出世魚のような変遷を辿ってますね。さすがにこれでアガリだと思いますが……